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「身体はトラウマを記録する」読後感想その3

私が感想を述べるよりも、本書の内容について適切に解説されている文章があります。本書の最後に掲載されている、浜松医科大学児童青年期精神医学講座教授の杉山登志郎氏による「解説の試み」です。出版元の紀伊国屋書店かアマゾンの「なか見!検索」で全文読めるといいのですが、残念ながら確認できないので一部を以下に引用します。

 本書は、凡百のトラウマに関する啓発書とはちがう。本書は、自伝的な要素を有し、著者の精神科医としての、そしてトラウマに関する世界的な研究者としての歩みがそのまま記されている。

 さらに彼は、慢性のトラウマや強烈なトラウマにさらされた脳が通常とは異なる働きを作り上げて行くことを、最新の脳科学や脳画像法を駆使して解明して行く。そうして積み上げられた実証を伴うデータの集積によって、一見脈絡のない不可思議な症候群が、すべてトラウマによって引き起こされた脳の変化に基づくものであることが示され、なぜ従来の治療法が無力であるのかも、脳の働きに遡って明らかになる。また薬物療法の限界も示される。

 本書は日本でも、トラウマに向き合わざるを得ない人々にとって信頼できるテキストとなるだろう。それはこんな人々である。ドメスティック・バイオレンスや子ども虐待に向き合わざるを得ない人、少年非行や少年犯罪、薬物中毒、性被害・性加害、社会的養護、里親・里子、貧困、すべての精神疾患、怠学、不登校に関わる人々。つまり学校教師、ソーシャルワーカー、児童養護施設や児童自立支援施設で働く人、精神科医、臨床心理士、弁護士、裁判官、警察官、検察官そして政治家。まさに私たちの社会は今、トラウマを強く意識しなくては何もできない時代を迎えようとしているのである。

 私は我が国が、ヴァン・デア・コークが目標としてかかげる、子どもの健康なそだちへの予算を増やし、虐待の連鎖を断ち切るために家族への包括的な早期からの有効な支援を実現し、将来の社会的予算を減らすことができる社会に向かってほしいと切に願う。


 
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2018-05-07 : 精神医療・精神薬・カウンセリング : コメント : 2 :
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Re: No title
みずたまさん、お久し振りです。

そうなんです。精神病とか心の病といった視点は、本人の心理的な問題で、責任は本人にあるという考え方が基本になっていると思います。しかし、「身体はトラウマを記録する」では旧来の思考を明確に否定しています。「ソマティック・エクスペリエンス」と同等の指向なのですね。べッセル・ヴァン・デア・コーク氏は、問題の根源を辿った結果トラウマに行き着き、脳が傷ついて、身体症状が発生していると立証しました。トラウマからの回復は簡単ではないと認識していますが、心身をお大事になさってください。
2018-10-04 16:59 : 清水賢一 URL : 編集
No title
清水さん、こんばんは。お久しぶりです。
トラウマに関して、心と脳と身体が繋がっているという内容は心の問題のほぼ全てこの理論で説明がつくのではないかと思います。
私も、別の方(ピーターリヴァイン博士)の著書でこのことを知り、それまで心の問題が脳に直結していると思っていたので、これだ!と思いました。
それをベースとしたセラピストが同じ市内にいることを知り、今では年に5〜6回ではありますが6年になります。
〇〇障害などの言葉を使わないとのことですが、ラベリングや分類は便利な一方、人の顔が一人一人違うように、苦しみの種類を論じても回復にはあまり意味がなく、すべての苦しみの根本がトラウマであることに焦点を当てるべきだからなのではと思いました。
私も、社会的に心の問題に取り組むことで将来の予算を減らすことが出来ると思います。
2018-10-01 20:40 : みずたま URL : 編集
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プロフィール

清水賢一

Author:清水賢一
境界性パーソナリティ障害・解離性同一性障害であるパートナーとの約7年間の生活を「ちゅーしても、いいよ 親の支配から生還した真由美の記録」として出版しました。私が彼女の心のトラブルに気付き、その原因が次第に明らかになり、 彼女が事態を受け入れていく実話です。様々な出来事がありましたが、現在では安定した状況となり、毎日問題なく過ごせています。私の経験を元に、機能不全家族の連鎖を絶って被害者が回復できるように提言します。

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