性的虐待・近親姦の基礎知識-18/日本

「父-娘 近親姦『家族』の闇を照らす」を翻訳した精神科医の斎藤学氏は、最後に「児童期性的虐待の研究と治療に関する日本の現状」として、日本での調査結果について解説しています。以下は、冒頭で述べられている文章ですが、自身の患者や児童養護施設にいる子供などを対象に調査した内容を具体的な数値とともに公開しています。

「日本には児童期性的虐待がそれほど多くないと専門家たちでさえ考えているかに思われる。そんなことはない。日本ではこれの実態を見ることになお抵抗が強いだけの話である。小児科医は子供たちの性的被害を見逃し、精神科医はその後遺症に無関心であり、法律家が適切な対処に不慣れであるという形で、児童期性的虐待の隠蔽に手を貸し続けているだけのことである。その結果、『日本には児童虐待はきわめて少ない、性的虐待はほとんど見られない』とか『日本における児童期性的虐待は主として母親が息子に対して行なう』などという神話が、国際学会にまでもち込まれるという恥ずかしい事態が生じている」。

アメリカでは各州で近親姦に関する刑事事件の処罰規定があります。この本では一覧できるように紹介されていますが、どこの州であっても厳しい懲役刑が処せられるようです。しかし、日本には近親姦の規定がなく、加害者が処罰されることは稀であり、民事事件でさえ損害賠償請求が認められるケースはごく一部に限られています。なぜなら、客観的な証拠があるはずはなく、被害者の記憶を裁判官が認めるかどうかに左右されてしまうからです。けれども、ただ単に法的な要件を満たしているかどうかが問題なだけではなく、「なかったこと」にされてしまう最も大きな要因は、社会が無知だからではないでしょうか。

今の日本で、性的虐待、中でも近親姦について他人に口外する被害者はどれだけいるのでしょうか。子供の頃から出し続けているサインに気付いた大人はどれだけいるのでしょうか。「躾」という名の体罰が厳しく問われるようになったのと同様に、機能不全家族の中で揉み消されようとしている最低最悪の犯罪に光を当てなければなりません。見ようとしなかったら、見えるはずの出来事も見えなくなってしまうのです。

実父や実兄が、娘や妹を強姦する事例は稀ではないと社会が認めましょう。酷い場合には10年以上も被害が継続するという事実を、誰もが知るべきです。現状では、子供達は沈黙したままです。誰にも助けを求めようとしないし、親から押し付けられた素晴らしい家族を演じ続けるでしょう。被害者が本心を明かせる社会を築き、人生の回復を導かなければなりません。

 
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2016-09-09 : 情緒的虐待/身体的虐待/性的虐待 : コメント : 0 :
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プロフィール

清水賢一

Author:清水賢一
境界性パーソナリティ障害・解離性同一性障害であるパートナーとの約7年間の生活を「ちゅーしても、いいよ 親の支配から生還した真由美の記録」として出版しました。私が彼女の心のトラブルに気付き、その原因が次第に明らかになり、 彼女が事態を受け入れていく実話です。様々な出来事がありましたが、現在では安定した状況となり、毎日問題なく過ごせています。私の経験を元に、機能不全家族の連鎖を絶って被害者が回復できるように提言します。

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