FC2ブログ

性的虐待・近親姦の基礎知識-13/誘惑

ジュディス・ハーマン氏は、性的虐待・近親姦の治療についてかなり深く掘り下げています。「父-娘 近親姦『家族』の闇を照らす」の第11章では、他の出版物ではあまり触れられていない事実に焦点を当てて、治療者と被害者の関係に注意を促しています。私はとても重要なメッセージだと思いますので、長文を引用します。

(ここから引用)
残念ながら、これは珍しいことではない。メンタルヘルスの専門家を対象にしたいくつかの調査は、患者と性的な関係をもつ治療者が少数ではあるが確実にいることを示している。ある調査によると、患者と性交したことがあると答えた精神療法家は、女性では0.6%にすぎなかったが、男性では5%もいた。別の調査では、男性の精神科医の10%が患者とエロチックな関係になったことがあると認めている。さらに、別の調査では、男性セラピストの20%が、患者との性的な関係の禁止に対して自分だけは「例外」だと考えており、70%がそういう行為をしている同僚を知っていると述べている。

近親姦被害者は、このような治療者に誘惑される危険性が特に高い。ほかの男たちと同じように、治療者も近親姦被害者を「格好の標的」とみなすからだ。禁じられた性の対象だったこの女性は、既に堕落しているのだから何をしてもかまわないと考えるのである。それに加えて、患者の方も一種の儀式化されたエロチックな振る舞いかたをするために、治療者は彼女が本当に誘惑されたがっているのだと信じてしまう。なんといっても、患者は男性を刺激して喜ばせるための訓練を受けているのだから、それがとてもうまいのである。実際、彼女は、どんな男性でも誘惑できる、性的な関係なしに自分のことを気にかけてくれる男性などいるはずがない、と信じている可能性もある。そのうえ、自己評価が非常に低いので、治療者の関心を引くための性的な関係をそれほど高い代価とは考えない。要するに、近親姦被害者が世の男性たちに虐待されやすい理由と男性治療者に誘惑されやすい理由は同じなのである。

治療者との性的関係という罠にはまってしまった患者は、昔父親との間で体験した裏切りと失望を再び味わわされることになる。情事の結果は悲惨なものでしかない。さらに悪いことに、治療者は患者の問題を解決するために性交渉をもつのだというふうに合理化し、患者から感謝の気持ちまで求める。
(ここまで引用)

パーソナリティ障害や解離性障害において、身体的な接触を含めた対人関係の再構築は重要だと私は考えています。しかし、それはパートナーの役割であって治療者の役割ではありません。近親姦の問題を扱う訓練を受けていない治療者が大多数を占めるから、治療者は被害者の特性を理解できないのです。生活を共にしてすべてを引き受ける覚悟をしていない者は、ただの加害者にすぎません。

こうした点について、もっと辛辣な批判をまとめている団体があります。市民の人権擁護の会(CCHR)では「精神医学におけるレイプ:女性と子どもを虐待する」と題して、具体的な事実に基づいて糾弾しています。日本では表面化さえしていませんが、治療者と患者の性的な関係が日本だけ存在しないはずがありません。被害者は自分の振る舞いに注意して、治療を受けるよう心掛けましょう。

 
スポンサーサイト
2016-08-29 : 情緒的虐待/身体的虐待/性的虐待 : コメント : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

プロフィール

清水賢一

Author:清水賢一
境界性パーソナリティ障害・解離性同一性障害であるパートナーとの約7年間の生活を「ちゅーしても、いいよ 親の支配から生還した真由美の記録」として出版しました。私が彼女の心のトラブルに気付き、その原因が次第に明らかになり、 彼女が事態を受け入れていく実話です。様々な出来事がありましたが、現在では安定した状況となり、毎日問題なく過ごせています。私の経験を元に、機能不全家族の連鎖を絶って被害者が回復できるように提言します。

カレンダー

10 | 2018/11 | 12
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

推薦図書

アルバム

にほんブログ村

にほんブログ村 メンタルヘルスブログへ にほんブログ村 家族ブログ 家庭崩壊・機能不全家族へ にほんブログ村 メンタルヘルスブログ アダルトチルドレンへ にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 解離性障害(解離性同一性障害など)へ

人気ブログランキング