性的虐待・近親姦の基礎知識-1/発見

ハーバード大学教授で精神科医のジュディス・L・ハーマン氏(Judith Lewis Herman)が1981年に出版した「Father-Daughter Incest」という本があります。近親姦を「再発見」した彼女が、近親姦の実態を広く世に知らしめた著作です。過去の膨大な文献を検証するとともに被害者の調査を行ない、この問題が闇に葬られてきた歴史的経緯に踏み込んで、父親が娘を強姦するという事実を社会に突きつけています。

ハーマン氏の著作は1994年に出版された「Trauma and Recovery」が有名ですが、その13年も前に証拠を積み上げて、父親が娘を強姦する事例は稀ではないと立証していました。日本では「Trauma and Recovery」を翻訳した「心的外傷と回復」(中井久夫訳)が1996年に出版され、「Father-Daughter Incest」を翻訳した「父-娘 近親姦『家族』の闇を照らす」(斉藤学訳)が2000年に出版されています。つまり、「Father-Daughter Incest」は20年も経ってから日本に輸入されたわけですが、私はその時間差がそのまま日本の精神医療の未熟さに繋がっていると考えています。

多くの精神科医やカウンセラーは、乳幼児期から少年期の虐待によって心的外傷が生じ、思春期以降に様々な症状や言動として表現されるという人の仕組みを真に理解していません。性的虐待が広く存在し、心身に重大な後遺症をもたらすと知っている精神科医やカウンセラーは少数派です。それでも、近年の日本では、近親姦の被害者が声を上げ始めました。もう、沈黙しなくてもいい社会に変わりつつあるのです。心的外傷の回復は、負の感情を言葉に置き換えることから始まります。

 
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2016-07-25 : 情緒的虐待/身体的虐待/性的虐待 : コメント : 0 :
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プロフィール

清水賢一

Author:清水賢一
境界性パーソナリティ障害・解離性同一性障害であるパートナーとの約7年間の生活を「ちゅーしても、いいよ 親の支配から生還した真由美の記録」として出版しました。私が彼女の心のトラブルに気付き、その原因が次第に明らかになり、 彼女が事態を受け入れていく実話です。様々な出来事がありましたが、現在では安定した状況となり、毎日問題なく過ごせています。私の経験を元に、機能不全家族の連鎖を絶って被害者が回復できるように提言します。

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