fc2ブログ

元少年A「絶歌」が示す愛着障害の根深さ

神戸連続児童殺傷事件の加害者が出版した「絶歌」について、「決定全文」を公開した井垣康弘元判事が、現在発売中の文芸春秋誌上で見解を述べています。簡単に言ってしまうと「育て直しに失敗した」と言わざるを得ない状況と判断されたようです。「絶歌」の内容に関して各所で酷評されていますが、どうやら元少年Aは自分と向き合った真摯な心情を公開したわけではなさそうです。というのも、私はまだこの本を読んでいません。自分で買う気にはならないので、地元の図書館ですぐに予約したのですが、まだ順番が回って来ません。

井垣元判事によれば、彼は自分の生育歴について少しも振り返っていないそうです。しかも、「母親を憎んだことなんてこれまで一度もなかった」「僕の起こした事件と母親には何の因果関係もない」と言い切っているというのです。私は驚くとともに、妙に納得しました。矛盾しているようですが、彼は愛憎の「憎」を表現できないのでしょう。それほど親への思慕は強い。自分が育った家庭がどれほど機能不全であったのか頭で理解したとしても、親に愛されたいという子供の感情は、その愛を獲得できるまで永遠に消えないのです。

医療少年院では、関係者がかなり努力をされたようですが、少年院を出た後に元少年Aは自ら関係を絶ってしまいました。これも思慕の現れでしょう。自分を育て直そうとしてくれた擬似的な母と父を選べば、実の母と父を捨てることになります。実の両親を否定して生きる段階まで、元少年Aは育っていなかったわけです。愛着障害は根深い呪縛になってしまいます。今回の結果は残念でなりません。私は、親から心的外傷を受けた子供は、精神的に親を捨てなければ回復できないと考えています。その考えを実現するためには生半可な努力では足りないのだと、元少年Aに思い知らされました。エンパワーメントには何が必要なのか、探し続けるしかありません。

bunshun1508.jpg 文芸春秋(2015年7月10日発売号)

 
スポンサーサイト



2015-07-22 : 機能不全社会 : コメント : 2 :
コメントの投稿
非公開コメント

Re: トラウマ治療
ごっちゃんさん、ご来訪有り難うございます。

西尾和美さんの出版物を読んだことがありますが、彼女が主に対象としている人は中程度の心的外傷ではないかと感じました。コメントから察すると、元少年Aの両親を先に癒すべきだと受け取れますが、私は不可能であり不必要であると思います。

元少年Aの両親が出版した本をお読みになりましたか?子供はあれほどの事件を起こしたのですよ!世の中にはとんでもない次元の毒親が存在するのであり、そういう連中は絶対に改心しません。だから、さっさと死んでもらうしかなく、被害を受けた子供は親の愛情を諦めるしかありません。
2016-02-28 16:41 : 清水賢一 URL : 編集
トラウマ治療
西尾和美先生が愛着関係の形成と感情のコントロールの中で言っているように、混乱形のアタッチメントで育ってしまった場合、親自身も混乱型のアタッチメントで育ってしまった場合が多いので、まず親のトラウマ治療から行うのだと言っています。トラウマは脳の傷。まず親が癒される必要があるということでは。
2016-02-28 11:58 : ごっちゃん URL : 編集
« next  ホーム  prev »

プロフィール

清水賢一

Author:清水賢一
境界性パーソナリティ障害・解離性同一性障害であるパートナーとの約7年間の生活を「ちゅーしても、いいよ 親の支配から生還した真由美の記録」として出版しました。私が彼女の心のトラブルに気付き、その原因が次第に明らかになり、 彼女が事態を受け入れていく実話です。様々な出来事がありましたが、現在では安定した状況となり、毎日問題なく過ごせています。私の経験を元に、機能不全家族の連鎖を絶って被害者が回復できるように提言します。

ちゅーしても、いいよ 親の支配から生還した真由美の記録 前編

ちゅーしても、いいよ 親の支配から生還した真由美の記録 後編

カレンダー

01 | 2024/02 | 03
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 - -

推薦図書

ブログ内検索

アルバム

にほんブログ村

にほんブログ村 メンタルヘルスブログへ にほんブログ村 家族ブログ 家庭崩壊・機能不全家族へ にほんブログ村 メンタルヘルスブログ アダルトチルドレンへ にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 解離性障害(解離性同一性障害など)へ

人気ブログランキング