fc2ブログ

ジュディス・ハーマンとC-PTSD

ジュディス・ハーマンは、臨床経験が豊富なハーバード大学の精神科医です。詳しいプロフィールは、JUST(NPO法人日本トラウマ・サバイバーズ・ユニオン)の用語集「ハーマン」に出ていますが、長期間の心的外傷に対して「C-PTSD(Complex Post-Traumatic Stress Disorder:複雑性心的外傷後ストレス障害 )」という概念を提唱した人物です。

それまでの「PTSD」という考え方は、強烈な一撃によってダメージを受けた場合を前提としていましたが、「C-PTSD」では長期間に渡って繰り返し被害を受けた場合を前提としています。ナチスの強制収容所から生還した人々、独裁政権に政治犯として収監されて拷問を受けていた人々、家庭内で夫から暴力を受け続けていた人々、幼少期から性虐待を受け続けていた人々に共通の症状が見られたために、PTSDとは別の概念を構築したのです。彼女は協力者とともに膨大な臨床事例を分析していますが、その集大成とでも言うべき理論を「心的外傷と回復」にまとめました。

PTSDは衝撃的な出来事が原因となっているので、因果関係を把握し易い状況にあります。ところが、C-PTSDの場合は様々な心身の症状を呈する上に、原因となった心的外傷と結びつきにくい症状です。しかも、幼少期の被虐待経験が成人後に症状として現れる場合も多いので、この概念が理解されるまで因果関係が把握されていませんでした。彼女はその後「父-娘 近親姦―『家族』の闇を照らす」を出版し、父親が娘を強姦する事例が少なくないという事実も明るみにしました。日本語版の出版は2000年と遅れたために、「心的外傷と回復」を出版した後の20年間について記述が追加されています。

私は、それまでPTSDについてある程度の知識はありました。だから、自分のパートナーが一時的に錯乱状態に陥ったり、暴力を振るったり、記憶をなくしたりする状況が「反応」であると気付き易かったのだと思います。また、彼女が親と接触した後に精神状態が悪くなったり、一人で家にいられなかったりするので、PTSDという概念では足りないと感じていました。そこで「心的外傷と回復」に出合い、自分の経験が理論化されていると知ったのです。難解な理論なので理解できない人は多いでしょうが、拙著を合わせてお読み頂ければ、科学的な根拠を伴った概念だと認めざるを得ないのではないでしょうか。

   
スポンサーサイト



2015-06-17 : 解離性同一性障害/解離性同一症/多重人格(DID) : コメント : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

« next  ホーム  prev »

プロフィール

清水賢一

Author:清水賢一
境界性パーソナリティ障害・解離性同一性障害であるパートナーとの約7年間の生活を「ちゅーしても、いいよ 親の支配から生還した真由美の記録」として出版しました。私が彼女の心のトラブルに気付き、その原因が次第に明らかになり、 彼女が事態を受け入れていく実話です。様々な出来事がありましたが、現在では安定した状況となり、毎日問題なく過ごせています。私の経験を元に、機能不全家族の連鎖を絶って被害者が回復できるように提言します。

ちゅーしても、いいよ 親の支配から生還した真由美の記録 前編

ちゅーしても、いいよ 親の支配から生還した真由美の記録 後編

カレンダー

01 | 2024/02 | 03
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 - -

推薦図書

ブログ内検索

アルバム

にほんブログ村

にほんブログ村 メンタルヘルスブログへ にほんブログ村 家族ブログ 家庭崩壊・機能不全家族へ にほんブログ村 メンタルヘルスブログ アダルトチルドレンへ にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 解離性障害(解離性同一性障害など)へ

人気ブログランキング